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自然循環のなかで生きるための農業

自然循環のなかで生きるための農業

「Awaji Nature Lab&Resort」の農園では、自然に逆らわず、微生物の力を活かした土づくりを行う。その土で育った野菜や果物は年間50品目以上。気候が良いので、オールシーズン野菜が収穫できる。

瀬戸内海東部に位置する淡路島は、神話のなかで、日本で最初に生まれた「国生みの島」と呼ばれている。年中温暖な気候と美しい自然、アクセスも本州から明石海峡大橋を渡って気軽に行くことができるので、リゾート地としても人気だ。

明石海峡大橋

淡路島から明石海峡大橋を臨む。

また、食料自給率が100%を超えるほど食が豊かな島でもあり、タマネギ、レタスなどの野菜や、牛肉、牛乳、鯛、鱧など、全国的に有名な農畜産物の宝庫。そんな淡路島で、本当の豊かさは食にあるという考え方のもと、2021年にオープンしたのが「Awaji Nature Lab&Resort」。淡路島北部の約3万8,000㎡の広大な土地を活かした自然循環型ガーデンだ。

循環型農業で野菜を育てる畑

陽・燦燦(はるさんさん)

敷地内には、循環型農業で野菜を育てる畑のエリアがあり、そこで育てた野菜を食べる農家レストラン「陽・燦燦(はるさんさん)」もある。

「50年先のことを考えて、農業から社会の課題を解決していきたいんです」と話すのは、Awaji Nature Farmの農場長・村田さん。そのひとつは、ゴミを減らすこと。レストランで出た生ごみは回収してコンポストによって堆肥化され、その土でまた野菜を育てる。そういう循環型農業を実践している。

Awaji Nature Farmの農場長・村田さん

村田さんたちは、元はミカン畑だったこのエリア一帯の土を、数年かけて堆肥を混ぜ馴染ませていい土に変えてきた。

いい土に必要なのは光、空気、水分。一日あたり30~40kgの生ごみを、落ち葉や米ぬか、籾殻をブレンドした床材に混ぜて、そこに潜む微勢物に分解・発酵させる。完全堆肥になるまで約1年弱かかるが、バランスよく混ぜるとふかふかの堆肥ができる。

「今の日本の農業は9割近くが、農薬や化学肥料を使った慣行栽培を行なっています。化学肥料を使うと形や色はきれいになるけれど、メタボな野菜になる。窒素成分を吸うので、苦味やえぐみも出る。今の子どもたちの野菜嫌いは、その苦味やえぐみが原因であることがほとんどなんです。ここで採れる野菜は苦味がスーッと抜けてみずみずしいので、ピーマン嫌いな子どもでも『あ、苦くない、おいしい!』と言ってくれるんですよ」

赤緑黄色のカラフルなミニトマトやナス、ピーマン、ケール、オクラなどが採れる

夏は、赤緑黄色のカラフルなミニトマトやナス、ピーマン、ケール、オクラなどが採れる。ハーブ畑やワイン用のブドウ畑もある。

左は子どもピーマン、右は万願寺唐辛子

左は子どもピーマン、右は万願寺唐辛子。生でかじるとジューシーでえぐみがない。

Awaji Nature Lab&Resortのもうひとつの取り組みが、農業に関わりがある人を増やすこと。五感で農業の魅力を感じてもらうために、収穫体験や和ハーブ講座といった畑の中でのワークショップを開催している。

完熟でおいしいトマト

ヘタがしっかり立っているか、肌色がよどんでないか。色が薄くなく、薄黒いくらいが完熟でおいしい。見分け方を教わりながら、おいしいトマト探し。

収穫体験では、まず堆肥「土」作りについて学び、その後、畑を見学して、その土で育った野菜を自分で選んで採って味わってみる。最後に、敷地内にあるレストラン「陽・燦燦」で、とれたての野菜がメインの新鮮な料理を食べるのがお決まりのコースだ。

土を触ってリフレッシュした後は、
野菜が主役の料理を食べて心身共に健康に

陽・燦燦の店舗。坂茂(ばん・しげる)氏が設計

店舗は、プリツカー賞を受賞した坂茂(ばん・しげる)氏が設計。柱に再生紙の紙管を使うなど、環境に配慮した材料を使用している。

究極のファームトゥテーブル(農場から食卓へ)を目指しているという農家レストラン「陽・燦燦」は、畑のなかを歩くとたどり着く。

陽・燦燦セット

一番人気の「陽・燦燦セット」は、旬の野菜を主役にし、サラダ、スープ、自家製パン、メイン料理がついて淡路島の新鮮な食材が堪能できる。

「野菜が主役」がコンセプトだけあって、一皿に約16種類の野菜が盛られた前菜サラダは、色鮮やかで盛りだくさん。野菜の特徴に合わせて一つひとつ調理を変えているので、食感の変化が楽しめる。野菜本来のうまみを引き出す仕上げに、淡路島の塩を振って。スープは、野菜の残さをペーストにしてとろみをつけたガスパチョ。規格外品のトマトとニンジンが効いた濃厚な味わいだ。

野菜ごろごろのボロネーゼ

メインのひとつ、淡路牛をたっぷり使った野菜ごろごろのボロネーゼ。

えびすもち豚のロースト

南あわじ市の自然の中で太陽をたっぷり浴びて育ち、糖質の高いバナナを餌にしたえびすもち豚のローストは、ほんのり甘みがある。

今後は、レストランの前に「農のある暮らし」を体験できる11棟の宿泊施設もオープンする。それぞれ違うデザイナーが設計したユニークなコテージには畑が併設されていて、宿泊しながら健康や環境に配慮した次世代型農業体験ができる。

農家レストラン「陽・燦燦」
住所:兵庫県淡路市野島常盤字源八1510-4
電話:0799-70-9082
営業時間:11:00~18:00(LO17:00、ランチタイムは15:00まで)
※ディナーは貸切のみ応相談
定休日:水曜日
https://www.awaji-nlr.com/